国際取引・海外取引では、契約書は英文契約書が標準として使用されますので、英語の契約書と、母国語の契約書の二種類が存在する場合があります。
また、対中国との取引におきましては、契約書中に、中国語の表記と英語の表記が混在する場合もあります。
そこで、どの言語の内容が優先されるかを確定していく必要があります。
そうしなければ、相手方の言語が優先された場合、こちらとしては、内容を把握していない請求がなされることがあるからです。
特に、英文契約書は裁判所では証書として当事者間の合意に関する証拠としての大変重要な機能があります。
その場合に、英語の契約書と、母国語の契約書の二種類が存在し、それぞれ内容の齟齬があった場合には、裁判所が適切に判断できず、自己に不利な判決がなされる可能性があります。
ですので、支配言語の条項を定めておくことが重要となります。
本文例では,日本語と英語の契約書に齟齬が あった場合には,英語の契約書の内容によることになります。
This Agreementis written and prepared in the English Language.
This Agreement may be translated into any language other than English; provided, however,that the English text shall prevail in any event.
本契約は,英語により作成される。
本契約は、英語以外の言語に翻訳 される場合がある。
ただし いかなる場合でも英語版が優先するものと する。
Controlling Language(支配言語)に関連して、正本と副本についての一般条項もここで見ておきます。
正本、副本共に、権限ある者のサインがある場合には両者ともに契約書としての重要性は異なりません。
但し、サインがコピーであれば、その書面には原本としての効力はありません。
This Agreement may be executed in one or more counterparts, each of which shall be deemed an original, but all of which together shall constitute one and the same documents.
本契約は一通または複数の副本により締結できるものとし、各副本は いずれも正本として見なされるが,すべてあわせて唯一の同じ書面を構 成するものとする。